ようやっとの再会

2日続けて植物園参り。

昨日は沢山の花を観察できてよかったのだが、ひとつ心残りがあった。

 

アマガエルである。

 

毎年この時期になると冬眠から覚めて活動を始める。今年も既に鳴き声は確認していた。

でも、見つからない。その姿を見つからないのである。これでは春が来ていないような感じがして、落ち着かない。

 

いつもの菜園周りの葉の上にはいない。

アジサイやフキの葉にも付いていない。

奥の森に行けば鳴き声は聴こえるけれど、枝葉にその姿はない。昨日は普段の倍の時間をかけた探索も空しく、見つけられなかった。一体どうしたものか。

思えば、見つからないほどに殺気だって探しすぎたのかもしれない。

虫の採集もそうだが、気合を入れて探しているとときほど相手もそれを察知してしまい、なかなか現れてくれない気がする。

多くの場合、見つかる瞬間は案外あっけないものだ。

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そんなわけで、今日はほどよく肩の力を抜いて園内を歩く。先入観も捨てる。いつもいる場所だけでなく、彼らが落ち着いていそうな場所をイメージしながら草木を眺める。

 

それにしても暑い。春を通り越したような陽気に、体がまだ慣れていない。

 

奥の森を歩く。昨日も今日も、ここが一番多くの鳴き声がする。

 

桜が咲きはじめていた。3月下旬は冷えたから、来週末あたりが見頃だろうか。

そんなのことを思いながら、桜の花から視線を幹へと下げたとき。

いた。アマガエルはひっそりと、幹の窪みに腰掛けていた。

冬眠明けのせいか、眠そうに見える。木の幹に体色を同化させていた。

幹の窪みや洞だったか。確かに今まで探していなかった。木から聴こえてくるのでてっきり枝葉にいるものと思っていたが、まさか木の中にいたとは...

 

他の木の穴も覗いてみると、何匹か見つけられた。

まだ気温の変化が激しい季節、彼らの居場所はここだったようだ。

ようやく春を迎えた気分で、植物園を後にした。

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身近な生き物、とりわけ植物園のアマガエルのようにずっと見てきた存在でも、まだまだ知らないことが沢山ある。実体験を以て、それらを少しずつ明らかにすることは楽しい。

 

既存の知識で彼らを固定化するのではなく、知識と経験をつなげた学び。

これからも、この時間を大切にしたい。