この週末は各所で桜が見頃を迎えている。
午後に大学の並木を見に行った。
木々は枝から溢れんばかりの花をたたえ、見物客で賑わう。
一年のうち僅かしかないこのひとときを、みんな待ち望んでいたのだ。
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ここに立つと、4年前を思いだす。
コロナ禍が始まってストレスを抱えていた時期。夜明けからあてもなく近所をふらふら歩き回った。
顔をふと上げると、満開の桜並木が目に映った。
去年と変わらず美しく咲き誇り、散りゆく。
でも、今年はそれを見届ける人がいない。
どこか寂しげに見えた。
日が昇り、背後から射す光が花々を照らす。
道の終点を見つめながら、周縁に映る花の色を感じていた。
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あれから4年。
並木道では人々が桜を愛でている。
コロナ禍の前に戻ったのではない。
一つの時期を乗り越えた姿。
同じだけれど、違う景色。
あのときより少しだけ、視界の端が眩しかった。