2週間ぶりの来園。
植物園に向かいながら、この時間を必要としていた自分に気づく。
漫然と歩きながら、目に留まった草花を観察し写真に収める。
彼らの小さな変化を見逃さないよう、注意深くまなざす。
安息と集中の同居。そこに使命感や義務感は無く、何の見返りも求めていない。
でも、自らが主体性を持って生きていることを実感できる大切なひとときである。
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近頃は寒さの峠を越えた感がある。
平日の朝、扉を開けたときに感じる冷気が幾分か和らいできた。
園内でも随所で春を感じられた。
梅は前回よりも多くの木々に花をつけ、辺りに香りを漂わせている。
福寿草が黄色い花を咲かせ始めている。
春の短い間しか咲かないスプリング・エフェメラル。3年前、進学で北海道に引越して間もない頃に野山でよく見かけた。
今日は空に雲が多く、天気がころころ変わる日だった。太陽が射せば暖かい。
特に印象深かったのは、ヒメカジイチゴの葉。
紅葉した葉をしばらくつけていたが、ついには枝に残ったまま枯れ始めている。
まるで葉の縁から火に炙られているようだった。
植物は一見すると動きが無いように見える。
でも、この瞬間も確かに変化しつづけている。
毎週のようにここへ通うようになってから、彼らが生きた存在であることを改めて実感するようになった。
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植物園の後はいつもの梅の場所に向かう。
着くと、木々は先々週からさらに花を咲かせていた。
「鈴鹿の関」という品種が特に気に入った。花弁の中心部がほのかにピンク色に染まって美しい。
自宅近所の公園にも梅の木が植っていることを知ったので、散り終わる前にそちらも見に行きたい。