この飛べないオサムシは北海道特産種で、全身が美しい金属光沢を纏うことで知られている。色、背中の条線、大きさは地域によって異なる。素晴らし要素しかない。
このオサムシを知ったのは小学生のころだったが、「虫=クワガタかそれ以外」くらいの認識と極めて偏った情熱しかなかった当時の私にはあまり刺さらなかった。
初めて採ったのは一昨年の9月。二次発生の個体を狙って近所の森に30個ほどコップを仕掛けた。
数日後に見に行ったら序盤のコップに1匹落ちていた。
「やった!」
「うおおおおおお!!!」
そして次の瞬間、初採集ルリオサはこの世界から消えることとなる。
(明るいところで撮影しようと移動してたらコップから落とした)
慌てて探すも、辺りは笹薮で簡単には見つからない。
10分ほど探して泣く泣く諦める。わりとガックリきた。
気を取り直して残りのコップを確認する。
全然落ちてない…
ラスト2個目のコップを覗く。
すると、先ほど一度は手元に収めた赤緑色の光沢が見えた(たぶんさっきのとは別個体)。
このときほど安堵したこともなかなかない。
赤みが強くて本当にきれいだ。
いままで20数年間、こんなヤバい虫を見落として生きてきたのか…
翌日も1匹回収し、ルリオサを1ペア揃えることができた。
北海道に戻ってきた昨年は春先から各地でいろんなルリオサを採った。
虫仲間と行ったり、一人で車中泊しながら行ったり。
タコ採れすることはあまりなかったし、ヌルった回も数度あったが、どの採集も楽しかった。コップを埋めてから回収に行くまでの間は毎日ワクワクしながら過ごしてた。
キタオオルリ、基亜種(ニセコ型など)、サッポロクビナガ、シャコタンオオルリ…どれも素晴らしかった。
特に印象的なのはオシマルリ採集。
虫仲間2人と一緒に行ったこの採集、最初の設置回は朝から夕方までコップを埋め続けた。
掌のマメは破れるし、顔はブヨにめちゃくちゃ咬まれるし、地面は石がゴロついててコップを埋めるペースが上がらない。立ったりしゃがんだりを繰り返して古傷の腰が痛む。
ビギナーの私にはとてもきつかった。
しかし、翌週のコップにあの輝きが見えたときの感激は今でも忘れられない。苦労が報われた瞬間であった。
毎回「キツいなー」と言いながらコップを埋め、翌週にワクワクしながら覗いていくのが楽しみでしょうがなかった。
今年は春先が忙しそうだけど、1ヶ所でも2ヶ所でも行きたいです。