北海道の虫シーズンも終盤である。9月はヒメオオもルリオサも採り、後半は博物館実習で忙しかった。
北海道での採集もおしまいか...と感傷に浸っていたら、実習先で“ある虫”が展示されているのを目にした。
ナミゲンゴロウである。このサイズ感、洗練されたフォルム、タガメなどと並んで水生昆虫の代表格だ。
北海道は水生昆虫の天国でありながら、今年も採集せずにシーズンが終わろうとしている。時期的にも今がラストチャンスだろうか...
目の前にあるチャンスを逃すわけにはいかない。いつか行こうの「いつか」は往々にして訪れないのだ。そこで、実習が休みの日に採りに行くことにした。
9/27
前日は調査で川の中を6時間歩き、午前もバイトでヘロヘロである。自宅のベッドに名残惜しい別れを告げ、札幌近郊の池へ向かう。
1つ目の池の到着。水辺の環境を確かめる。
事前に調べた情報では、ゲンゴロウは岸辺の水草が茂ったところにいることが多いとのこと。また、陸で蛹になるためコンクリートで護岸された池や沼にはいないらしい。見た感じ、条件面では合格だ。
探索に入る。が、ここで問題が。ウェーダーを持っていないので、奥にズカズカ入っていくことができない。長靴で入れる範囲での採集となるが、この池は岸からすぐ深くなるため長靴はあまり意味はなかった。また、ガサガサで使うような堅牢な水網も無い。手元にあるのは10年以上前にホームセンターで買った、子供用の魚取り網である。
それでもどうにかナミゲンを採りたい一心でガサガサすると、ひと掬い目でヒメゲンゴロウ(写真なし)と小魚が数匹入った。高まる期待を胸にその後もしゃむににガサガサする...
...
1時間半が経った。手元にナミゲンはいない。ナミゲンどころか、水生昆虫の類いも最初のヒメゲン1匹で、あとはグッピーだかなんだかの小魚だけである。つらい
この時点ですでに15時半。ここで粘るか、他の場所に行くか...決断が迫られる。悩んだ末に後者を選択した。
Googleマップで付近の池を探し、なんとなく良さげなところに行くことに。
ほどなく2ヶ所目の池に到着。ここも岸からすぐ深くなるため、陸から目一杯網を伸ばしてガサる(長靴を履いている意味が無い)。ここで厄介なことが発生した。
ひと掬いでこの有り様。ヒシの種だろうか。いかついチクチクが網にくっつく。最初は気にせずやっていたが、くっつきすぎると網が伸びず何も掬えないのだ。肝心の虫も入らず、フラストレーションが溜まる。それでも粘り強く探していると、網に大きな甲虫が入った。
お!!ナミゲンか???それともゲンモか??鼓動が高鳴る。
ガムシでした。そう簡単にはいかないか...
でもガムシがいるならゲンゴロウもいておかしくないはず。どうにか前向きに受け止めてガサガサし続ける。
すると再び網に大きな甲虫らしきものが入った。お?さっきリリースしたガムシか?高くない期待とともに網を覗いた。
それはなんと、
!!!!!!、!
ガムシには無い黄褐色のエッジ。そしてゲンモのような前胸の縁取りは無い。
ゲンゴロウだ!!!!やっっっった!!
圧倒的存在感。最高だ。これがナミゲンか...
しばし喜びに浸る。
その後も探したが、日没となりタイムアップ。しかし、メス1匹を採集することに成功した。
この0と1は大違いなのだ。
お家で再び撮影&観察。スイスイ泳ぐ姿が愛らしい。楽しそうなので飼ってみることにした。
10月上旬でも暖かそうなら、次はゲンモを採ってみたいです。