麺が好きだ。
蘊蓄を語れるほど詳しいわけでもないし、毎日食べているわけでもない。お店巡りをしている自意識もない。
それでも、「麺が好き」ということに偽りはない。
昨春、北海道に戻ってきて気づいてしまった。
「この土地は美味しい麺があちこちにある」と。
ここでは、北海道で味わった印象的な麺を振り返ることにする。
チキンたっぷりペペロンチーノ(セイコーマート・全道)
真っ先に思い浮かんだ。
最初に食べたのは去年の春。オサムシ採集のときに立ち寄ったセコマで虫仲間がこれを買っていて、おいしそうだから自分も買ってみたのがすべての終わり(始まりともいう)だった。
それからというもの、小腹がすいた時の軽食として長い付き合いとなっている。
いつも採集のときに食べていたのもあって、これを食べると道内採集の思い出が蘇る。
名に偽りのないチキンのたっぷりさ、車内で食べると充満するほどのガーリックの香り、程よいボリューム感。
そして何より、これが100円ちょっとで買えてしまう僥倖。
ほかのパスタもおいしいのだろうが、これがうますぎるから浮気できない。
道外の友人に「海鮮やジンギスカン以外におすすめある?」と聞かれたときに推してしまうくらいには虜になっている。
特製魚介醤油つけめん(NOFUJI・札幌)
ここのつけ麺も忘れてはならない。
バイトで疲れてしまった帰りに、いつも行列が絶えないのがその日は偶々空いていたので寄ってみた。多くの人がつけ麺を頼んでいたのに倣って注文。
おいしい。
麺は道産小麦100%使用とのことで、しっかりと麺の味があり、もちもちしている。そしてつけ汁は豚骨と魚介のWスープで、濃厚だがスッキリした後味でクセになる。臭みもなく実によい塩梅で麺と絡み合った。チャーシューもしっかりしていて食べ応えがある。
行列に並ばないといけないことがネックだが、札幌でもトップクラスにおいしいと思う。
小ラーメン(ラーメン二郎札幌店・札幌)
これを書いている今ですら、二郎を食べたい衝動に駆られている。ギリギリのところでどうにか理性で抑え込んでいる。かなり食べたい(一昨日食べました)。
食べ始めはすごく美味しく、量の調節やその日の胃腸コンディションを見誤ると食べ終わるころには小ラーメンでもだいぶ苦しくなる。
店を出たら「当分もう二郎はいいや」となるが、しばらくするとまた食べたくなり、そのサイクルは段々と縮まる。この怪現象は世の七不思議のひとつに数えられるとかそうでないとか。
他の二郎ラーメンと比べると控えめな印象を受ける。個人的には食べやすい量・味でよい。
たこかき揚げ天そば(いずみ食堂・日高)
田舎そばが好きだ。ゴワゴワしたコシのある食感がたまらない。
そんな私にとって、この店の蕎麦はどストライクで非常に印象に残っている。
晩夏の採集帰り、道沿いに見つけて良い感じの店だな~と思って立ち寄った。
私が並んだ後にも長蛇の列ができ、人気店であることを知った。おすすめはたこかき揚げ天そばとのことだったので、それを注文。
しばらくして頼んだ品がサーブされたわけだが、驚いた。
かき揚げのボリュームがすごかった。しかもタコの頭がたっぷり入っている。
かき揚げを一口ほおばると、サクサク食感とともにタコの旨みが口いっぱいに広がる。
しっかりめの出汁に浸して食べてもうまい。一緒に頼んだたこめしも美味。
またあちら方面に用事が出来たらぜひ寄りたい店である。
まだ見ぬ世界を求めて
他にもおいしかった店はたくさんある。
出された料理を食べるだけでなく、店の雰囲気や料理人が作る様子、一緒に行く人がいるならその人と語ることなど、沢山のことを味わえる時間は何にも代えがたい価値があるものだ。
同じ瞬間は一つとしてない。まだ見ぬ世界を探求したい。
採集にも通ずることだ、と思ったがちょっと無理があるかもしれない。往々にして物事というのはそう単純ではないのだ。
少し話が長くなってしまったが、つまるところは今後も行く先々でおいしい麺を愉しんでいきたいということである。おいしい食事は何よりも心身の疲れに効くので。