或る土曜日

今日は土曜日。

いい土曜日だった。

そんな気がするので、ここに書き記すこととする。

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AM

まず、目覚めが良かった。

正確には二度寝後の目覚め。

8時頃に一旦起きて朝食を食べ、歯を磨いて髭を剃り、再びベッドに潜った。

起きたら11時。

睡眠による回復もあるが、「この時刻まで二度寝している」という事実が満足感を生んでいる気がする。

着替えて外に出かける。

車で先ず郵便局に寄り、昨日受け取れなかった荷物を受け取る。

 

その後は先週と同じ場所へ梅を見に行った。

ここにはいくつもの梅の木が整然と植っている。

でも人がいるのを見たことがないので、穴場といえばそうである。

 

先週咲きかけていた木は満開といってよい姿になっていた。

まだ咲いてない木にも、今にも開きそうに膨らんだ蕾が見える。

春を感じる陽差しが花弁を透過する。

 

強い香りを放つ木に近づくと、小さな羽音が聞こえてきた。

ミツバチが花から花へと吸蜜している。

また季節が少しずつ、そして着実に進んでいる。

来週は来られないのが残念だ。

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PM

職場の同期2人と干し芋を買いに出かけた。

干し芋は昔からの大好物である。

生の芋にはないしっとりした食感、ぎゅっと凝縮された芋の甘味。

軽く炙ったものを冷たい牛乳と共に食するのが良い。

 

ここ茨城県はさつまいもの大産地。

いまの時期は干し芋の季節真っ只中。

一端の干し芋好きとして、買いに行かない手はない。

 

先週訪れた干し芋のお店がとても良かったので再訪。店前には、世界でもここにしかないであろう「干し芋の石像」が佇む。

店内には色も形も多様な干し芋が並ぶ。家族へ送る用に平干しの干し芋3種、自分用に丸干しの新物を買った。

干し芋は縦に薄く切られた「平干し」が多いが、小さい芋を丸ごと干した「丸干し」のものも存在する。前回訪れたときに丸干しを初めて買って食べ、みずみずしい食感と濃い甘みに衝撃を受けた。

再び食べられてうれしい。

 

芋のジェラートも食べた。先週も食べたはずなのに、その美味しさに改めて驚く。

芋だけで5品種ほどのジェラートがいつも並んでおり、食べ比べると品種によって味が大きく違うことに気付かされる。

まだ時間があるので大洗磯前神社へ寄り道することに。大洗は何度か来ているものの、神社へ行くのはこれが初めてである。

 

境内に近づくにつれ、賑やかな声が聞こえてきた。

何やら人だかりができている。

そういえば今日は節分だった。

裃を着た人が群衆に餅などを撒いている。

TVでしか見たことのない光景。これが面白かった。

定番の餅やお菓子だけでなく、手拭いや野菜果物、挙げ句の果てには米や味噌のようなものも次々と撒く(流石に重い米は投げずに手渡ししていた)。

興味本位で群衆に近づくと、たまたま胸元へ餅が飛び込んできた。不思議な高揚感と、御利益がある気がして嬉しい。

ほどほどに参加しつづけ、手拭いとスナック菓子とほうれん草(!)を手に入れた。

周囲の人たちはみな、両手に袋一杯の「御利益」を抱えている。

 

海の鳥居も見に行った。

ここ大洗にしては風が穏やかな日で、空と海は際限のない広がりを見せている。

今日の雲はどことなく軽やかな感じがした。

ずっとこの場にいられる安らぎがあった。

すでに日は傾いている。

夕焼けを追いかけるように帰路につく。

うまく言えないが、いい土曜日だった。