愛してやまない島の郷土料理に、「島寿司」がある。
八丈島が発祥とされ、伊豆諸島や小笠原諸島、遠く離れた沖縄の大東諸島でも見られる寿司料理。
島の近海で獲れた魚を「漬け」にしたネタがシャリに乗る。
今まで食べたネタで最も多かったのはサワラ。他にはマグロ、カンパチ、タイ、シマアジ等々。
薬味にはワサビではなくカラシが使われるのも特徴のひとつ。
初めて島寿司を食べたのは3年前の南大東島。
大東諸島には「大東寿司」という島寿司があるのだが、当時はコロナ禍。行こうとしていた割烹は閉まっていた。
仕方なく空港の売店で売られていたものを買ったのだが、これが本当に美味しかった。
醤油ベースのタレに漬け込まれたネタと甘いシャリの一体感ある味わい。
すっかり虜になってしまった。
以後、行く先々で見かけたら必ずと言って良いほど食べている。
島や店によって、味やネタが違う。
寿司屋はもちろん、スーパーや商店でパック詰めで売られていることもある。
今年訪れた伊豆諸島の神津島・新島で食べた島寿司にはタレに唐辛子が使われていた。じんわりとした辛さが尾を引く。
いま、こうして文章を書き写真を漁っているうちにも食べたくなってしまった。
良い虫を得た後の達成感に浸りながらつまむ島寿司は、まさに至福そのもの。
私にとって、島巡りを語るうえで欠かせない特別な料理である。